KS-7機械知能の理解にむけて ー物理学との対話を通してー
【開催概要】
日時: 2018年6月7日(木) 13:50-15:30 (100分)
場所: 城山観光ホテル(人工知能学会全国大会内)N会場 (2F 桜島)
鹿児島県鹿児島市新照院町41番1号(天文館からシャトルバスで約10分)
オーガナイザー: 澤博(名古屋大学)、大槻 東巳(上智大学)、山川宏(ドワンゴ人工知能研究所)
企画セッションページ: https://www.ai-gakkai.or.jp/jsai2018/ks
【狙い】
本セッションでは、「理解」とは何か?というテーマに焦点をあてる。なぜならこれは物理学と人工知能にまたがりかつ重要なテーマと考えられるからです。ここでは、物理学会の現会長ら、科学哲学研究者と共に講演やパネル討論を行います。
これまで「理解」というのは、人が物理現象や知能を理解するというものだけでした。しかしAIが発展した現在において、①AIを通して物理世界を理解する視点、②AI自身が物理世界を理解する視点、③前記をつくるために人による物理世界への理解を参照する認知科学的な視点、④物理世界への理解方法を知能理解に応用する視点などが、顕在化しているからです。
【狙い】
本セッションでは、「理解」とは何か?というテーマに焦点をあてる。なぜならこれは物理学と人工知能にまたがりかつ重要なテーマと考えられるからです。ここでは、物理学会の現会長ら、科学哲学研究者と共に講演やパネル討論を行います。
これまで「理解」というのは、人が物理現象や知能を理解するというものだけでした。しかしAIが発展した現在において、①AIを通して物理世界を理解する視点、②AI自身が物理世界を理解する視点、③前記をつくるために人による物理世界への理解を参照する認知科学的な視点、④物理世界への理解方法を知能理解に応用する視点などが、顕在化しているからです。
理解はAI開発において重要であり、昨年の汎用人工知能の国際会議においても、「UNDERSTANDING UNDERSTANDING」というワークショップが企画されました。それ以上に、私達自身の知能に対する理解を一般性の高いものにしてゆくことは、今後私達が高度な機械知能を開発し共存してゆくために必要です。しかし現在、私達は知能を包括的に理解する理論的な手段をもっていません。これに対して物理学は、長年の歴史の中で物理世界についての理解が深まり、理論化も進んでいます。そこで、物理学で発展した世界に対する理解について意見を伺いつつ、AI研究者らがより深く機械知能を理解するための手がかりを得ることは1つ目の大きな狙いとなります④。
また一方で、物理学のデータ分析においても機械学習が使われ始めていますが、そこに含まれるブラックボックス性ゆえに、理解したといえるのかどうかに疑問が呈されているようです①。
そこで本企画セッションはでは、こうした諸問題を中心に取り上げ議論してゆきたいと思っています。
※本セッションは、物理学会と人工知能学会の相互作用による発展を目指した連携活動の一環として企画されています。
【アジェンダ】
司会進行: 澤博
A) 趣旨説明: 山川宏(5分)
B) 物理学会演者:(45分)
物理学会とAI学会のコラボに向けて・・・物理学の基本姿勢とAI (澤) 5~10分程度
物理学はいかにしてつくられたか? ー理解を深める歴史ー (川村)15~20分程度
ニューラルネットの物性物理学への応用 (大槻) 15~20分程度
(休憩 10分)
C)問題提起:呉羽真(15分)
D) パネル討論:(35分)
モデレータ: 山川宏
パネリスト
物理学会: 川村光(大阪大学)、 大槻 東巳(上智大学)
哲学者: 呉羽真(大阪大学)
AI学会: 寺野隆雄 (東工大)、日髙昇平(北陸先端科学技術大学大学)
【演者紹介】
川村光(大阪大学)
大阪大学理学研究科教授。専門は物性物理学理論。
1982年 3月 東京大学理学系研究科物理学専攻博士課程修了,理学博士
1982年 大阪大学教養部助手(物理)、同助教授、京都工芸繊維大学工芸学部教授を経て、1999年 大阪大学理学研究科教授(宇宙地球科学)、現在に至る。
2013年 日本学術振興会・学術システム研究センター・主任研究員(数物系)、2014年 日本学術会議連携会員、2017年 日本学術会議会員。
2013年より、 日本物理学会会計理事、学会副会長を経て、2017年より日本物理学会会長
大槻 東巳(上智大学)
上智大学理工学部教授。専門は物性物理学理論。
1989年東京大学理学系研究科物理学専攻博士課程修了,理学博士。学振特別研究員,ドイツ連邦共和国物理工学研究所博士研究員,大阪大学教養部助手,東邦大学理学部講師,上智大学理工学部助教授を経て2001年に同大学教授。現在に至る。
2015年 日本学術振興会・学術システム研究センター・専門研究員(数物系)を兼務2004-2006年, 2014-2018年 日本物理学会庶務理事
澤博(名古屋大学)
名古屋大学工学研究科教授。専門は物性物理学実験。
1990年 青山学院大学 理工学研究科物理学専攻修了,理学博士。東京大学 物性研究所助手、千葉大学 理学部物理学科 助教授、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 助教授/教授を経て、2008年より 名古屋大学工学研究科 応用物理教授 現在に至る。
2015年より 日本物理学会庶務・会計理事
呉羽 真(大阪大学)
1983年生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員DC(京都大学)、同PD(立教大学)、京都大学宇宙総合学研究ユニット特定研究員を経て、現在は大阪大学先導的学際研究機構共生知能システム研究センター特任助教。専門は哲学。身体性認知科学の理論的基礎や、宇宙開発の倫理的・法的・社会的課題の研究に従事。訳書にアンディ・クラーク『生まれながらのサイボーグ』(春秋社)がある。
寺野隆雄(東工大)
東京大学修士課程修了.1978年~1989年電力中央研究疎勤務.1990年~2004年筑波大学.2004年~2018年 東京工業大学.工学博士.筑波大学・東京工業大学名誉教授.社会シミュレーション,サービス科学,知識システムなどに興味をもつ.人工知能学会,経営情報学会,社会情報学会,情報処理学会,計測自動制御学会,日本OR学会,進化経済学会,日本シミュレーション&ゲーミング学会,横断型基幹科学技術研究団体連合などの理事,学会誌・論文誌編集委員(長),研究会主査を歴任.ACM,IEEE会員,PAAA
日高昇平(北陸先端科学技術大学大学)
平成14年九州大学理学部生物学科卒業.平成19年京都大学大学院情報学研究科博士後期課程修了,同大学博士(情報学)取得.平成20年 Indiana Universityにて博士研究員.平成22年北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科助教.平成29年同准教授.言語・認知発達、意味認知の計算論的メカニズムの解明を目的に、心理学実験・情報理論・機械学習・非線形時系列解析などを駆使した研究を行う。
山川宏(ドワンゴ人工知能研究所/NPO法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブ)
1987年3月東京理科大学理学部卒業。1992年東京大学で神経回路による強化学習モデル研究で工学博士取得。同年(株)富士通研究所入社後、概念学習、認知アーキテクチャ、教育ゲーム、将棋プロジェクト等の研究に従事。フレーム問題(人工知能分野では最大の基本問題)を脳の計算機能を参考とした機械学習により解決することを目指している。人工知能学会編集委員長/理事。
http://ailab.dwango.co.jp/