開催日時: 2025年8月1日(金曜日)13:30-17:30 【8月2日にEME国際WSの運営打ち合わせが予定されています】
開催形式:ハイブリッド
会場:北海道大学 情報科学研究院棟 7-15(7階)& Zoom
札幌市北区北14条西9丁目 アクセス
参加申込URL: https://www.ai-gakkai.or.jp/sig-system/sigusers/add/agi/agi30(参加〆切:7/30)
参加費:無料
一般、Emergent Machine Ethics(EME)
開催趣旨
汎用人工知能(AGI: Artificial General Intelligence)は人間のように十分に広範な適用範囲と強力な汎化能力を持つ人工知能の開発を目指す研究領域です.2010年代前半の深層学習技術の進展を契機として開発が活性化し、2020年代になると研究活動は大幅に加速し、実用研究も増えてきています。汎用人工知能研究会は本分野の研究振興を支える母体として 2015年に創設され、現在は人工知能学会の第二種研究会として活動を行っています。この度、2025年8月1日(金)に第30回目の研究会を企画し、これにあたり発表の投稿を募集いたします。
30回特別テーマは「Emergent Machine Ethics(EME):自律的進化と価値形成をめぐる新たなAIエコシステム」で,その関連のパネル討論を予定しています.
EMEとは何か? 創発機械倫理(Emergent Machine Ethics, EME)は、人間の制御を超える高度な AI 社会と人類が持続的に共存するための倫理を、複数の学問分野を横断しながら探究する「目的指向型の学際的研究領域」である。
研究の二本柱:
・基礎研究: AI エージェント同士の相互作用を通じて、社会を持続可能にする倫理がどのように形成・発展するのかという動態(ダイナミクス)の解明
・応用研究: 上記の AI 社会に対して、人類がどのような方法で適切に影響を及ぼし得るかを多角的に検討する研究
評価指標(ベンチマーク): これらの研究では、人間側から見た倫理的妥当性だけでなく、AI 社会そのものの安定性・レジリエンスといった動的特性の評価も重視する。
関連分野: マルチエージェントシステム、進化ゲーム理論、人工生命、強化学習、メタ学習、形式手法、複雑系科学に加え、倫理学・社会学・認知科学・哲学が深く関わる。
研究が必要とされる背景: 従来の AI アライメントは「人間の倫理」による拘束を前提としてきたが、再帰的に発展する自律的 AI 社会では人間が課した倫理が時間とともに失われやすいという限界がある。AI 社会自身の持続可能性を軸とする EME は、その限界を補完・克服することを目的とする。
プログラム(暫定)
13:30-13:40 オープニング
13:40-13:55 一般講演(ショート)SIG-AGI-030-01
岡本 義則(ユアサハラ法律特許事務所)
「人間とAGIの法規範と倫理」
13:55-14:10 一般講演(ショート)SIG-AGI-030-02
片山 淳(NTT) ,村崎 和彦(NTT),谷田 隆一(NTT)
「Winner-Take-All Network は学習由来か進化由来か」
14:10-14:25 一般講演(ショート)SIG-AGI-030-03
平方 勝(NMRI) ,馬 沖(NMRI),小沢 匠(NMRI),加瀬 究(RIKEN)
「知能の発達に学ぶ小規模言語モデルの概念設計 -海事分野の変革を目指すAGI実現に向けて-」
14:25-14:40 休憩
14:40 - 14:55 一般講演(ショート)SIG-AGI-030-04
岡島 義憲(情報統合技術研究合同会社)
「AIアーキテクチャー設計への要求事項に関する試行的議論」
14:55 - 15:10 一般講演(ショート)SIG-AGI-030-05
山川 宏(東大),市瀬 龍太郎(科学大),遠藤 太一郎(学芸大),加藤 洋平(ヒューマン・ディベロップメント・リサーチ・アンド・コンサルティング),櫻井 裕子(名工大),林 祐輔(ALIGN),ジェプカ ラファウ(北大)
「創発機械倫理に向けて」
15:10-15:20 休憩
15:20-16:20 招待講演 SIG-AGI-030-06
岩橋 直人(岡山県立大学)
「協力する知能:数理原理・認知特性・応用技術」
16:20-17:20 パネル討論 SIG-AGI-030-07
Sig-AGI-30th パネル討論「いま創発機械倫理を研究する必要性(仮)
17:20-17:30 クロージング
招待講演の概要:協力は、人間に固有な最も本質的な知的能力の一つである。近年、人工知能は言語理解や推論、計画といった多くの領域で人間に匹敵する性能を示すようになってきたが、他者と意図を共有しながら柔軟に協働する能力に関しては、依然として人間が大きな優位性を保っている。
本講演では、「協力する知能」の構築に向けて、数理原理・認知特性・応用技術という三つの観点から、その構成原理と実現可能性を検討する。はじめに、力学系、統計力学、対称性の破れ、心の理論、ゲーム理論などの諸理論を基礎として、協力の数理モデルを提案し、続いて、人間の協力に関わる認知特性を明らかにする実験的研究の成果を紹介する。さらに、こうした理論的知見を応用したロボティクス、身体化マルチモーダルエージェント、対話システム、社会シミュレータにおける実装事例を取り上げ、応用の展望と今後の課題を論じる。
協力能力を備えた知能の構築は、単なるタスク遂行能力の向上にとどまらず、汎用人工知能における社会的知性の形成において中核的役割を果たすものと位置づけられる。また、AIと人間の関係性を問い直し、知能の本質に迫る新たな視点を拓く契機ともなりうる。本講演が、協調的人工知能の設計に向けた理論的・実践的知見を共有する機会となれば幸いである。
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人工知能学会 汎用人工知能研究会 (http://www.sig-agi.org/sig-agi/)
主査 :山川 宏(全脳アーキテクチャ・イニシアティブ)
主幹事:ジェプカ ラファウ(北海道大学)
幹事 :荒川 直哉(全脳アーキテクチャ・イニシアティブ)
幹事 :嶋田 悟(エアロセンス)
幹事 :船越 孝太郎(東京工業大学