用語集

特定型AI(narrow AI)

個別の文脈・タスクにおいて個別のやり方で「知的な」振る舞いをするようなシステム

レイ・カーツワイルが著書「シンギュラリティは近い」の中で用いた用語

〈汎用人工知能〉に対置される概念

強いAI(Strong AI)

元来は哲学者ジョン・サールが「適切にプログラムされたコンピュータが、妥当な入出力を与えられれば人間と同じように心を持つ」という立場を呼んだ用語

しばしば〈汎用人工知能〉と同義として用いられるが、汎用人工知能の開発者は、必ずしも自らが開発しようとしているものが「心」を持つかどうかについてコミットするわけではない。

物理記号システム仮説(Physical Symbol System

物理的パターン(記号)の操作による体系が汎用知能の実現に必要十分であるという仮説(ニューウェルサイモン)しばしば、古き良きAI(GOFAI)はこの物理記号システム仮説に基づくものとされる。

一見、この仮説が成立しなければ、デジタル計算機によるAGIの実現はありえないように見えるが、ここで「記号」は外界のものごとを表象するものと解釈される。その場合、ニューラルネットのシミュレーションなどで、計算の対象となるニューロンの活動値などは、外界のものごとを表象する「記号」ではなく、「記号未満の(subsymbolicな)」表現であるとみなされる。

シンギュラリティ(Singularity)

技術的特異点⇒シンギュラリティ

シンボルグラウンディング問題(The Symbol Grounding Problem/記号接地問題)

記号がいかに実世界との関わりにおいて意味を持つかという問題。

あるいは、ロボットなどの人工物において、センサなどを通じて得た外界の情報と恣意的に意味づけされた記号との関連付けをいかに成立させるかという問題

さらには、AIに適切な外界についての知識(内部モデル)を持たせる問題と考えられ、哲学的にはAIの認識論(知識論)に還元されるはずである。

バインディング問題(The Binding Problem)

特にコネクショニストモデルのような分散表象系において、複数の表象をどのように関連付けるかという問題。

通常の計算機言語では、記号のトークンを自在に作り出したり、関連付けたりできるので、バインディングはそれほど問題にはならない。一方、分散表象系では、通常、ネットワークの特定の位置の活性化パターン(トークン)が表象となるので、例えば「丸の上に四角がある」といった関連性を表すのに、丸を表すパターンと四角を表すパターン、位置関係を表すパターンのそれぞれのトークンをどのように組合せて全体の関係を表すのかが問題になる。また、シーンの中に丸が2つあるとすると、丸の表象パターントークンも2つなければならないと考えられるが、これを分散表象系でどのように表現するかが問題となる。

概念融合(Conceptual Blending

ジル・フォコニエとマーク・ターナーによる認知言語学の用語。複数の概念フレームを融合させることで、新しい発想を生み出す心的過程である。彼らによれば、概念融合の獲得こそホモサピエンスと他の動物種の心的機能を区別するものだという。おそらく、言語の獲得と同時に意味フレーム表象も獲得し、フレームスロットを適宜交換、フレームを融合する心的機能を獲得したのであろう。

モラベックのパラドックス

人間にとって簡単にみえることのほうが、しばしばプログラミングすることが難しいという不思議

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